歴史ある九谷焼に新たな息吹をもたらした、石川県の窯元「九谷青窯(くたにせいよう)」。1971年の創立以来、時代に即した普段使いしやすい九谷焼を提案し続けています。その窯元で数多くの人気商品をつくり出した陶工、徳永遊心(とくながゆうしん)さんが2020年から「遊心窯」という新たな屋号を掲げ、独立しました。
徳永遊心さんといえば、入荷するとすぐに売切れてしまうほど人気の器「色絵花繋ぎ(いろえはなつなぎ)」が有名。花や果実などのモチーフが彩り豊かに描かれた器には、全国に多くのファンがいます。
今回、遊心さんの独立を記念し、フリーデザインオリジナルの新作をつくっていただきました。
「色絵彩勿忘草(いろえさいわすれなぐさ)」は、勿忘草(わすれなぐさ)、英名は「Forget-me-not」という小さな青紫色の花を題材にしたもの。欧米諸国では古くから友愛や誠実の象徴として親しまれており、ときどき白やピンクの花も見られるそうです。この花をモチーフにしたものは九谷青窯時代にもありましたが、新作は「九谷五彩(くたにごさい)」と呼ばれる、赤・黄・緑・紫・紺青の色絵の具を遊心さん流に巧みに用いた作品となっています。
成型して素焼きした後、「呉須(ごす)」という藍青色の顔料で模様を描き、釉薬を掛け焼成した後に色絵の具を厚く盛り付けて塗る「上絵付け」をし、再度焼成をすることによって、ぷっくり艶やかな花を表現。ピンクと黄緑は、今回のために遊心さんが考案した新色で、可愛らしいアクセントになっています。
手描きならではのひとつひとつ異なる花の表情に、あたたかみを感じるアイテムたち。お皿は、青窯時代の作品よりもやや薄手で軽く、使い勝手がよいものに仕上がりました。 6寸皿は、少し大きめの取り皿で、食パン一枚をそのまま乗せるのにちょうどいい感じのサイズです。素朴なケーキやスコーンを乗せても不思議と華やかに見えます。7寸皿は、メイン皿としてちょうどいいサイズ。適度な深さがあるので、カレーやパスタ、炒飯などにも。どちらも遊心さんのサインが入ります。
手をかけずにササっとつくったシンプルな料理も、このお皿に合わせると華やかに見えるのが嬉しいところ。毎日の食卓にも、おもてなしにも、日々活躍してくれる器です。