日本を代表するデザイナー、柳宗理。MoMA(ニューヨーク近代美術館)に永久展示品として収蔵されている「バタフライスツール」をはじめ、1946年に開催された東京オリンピックの聖火コンテナやトーチホルダーのデザインも手がけるなど、日本のプロダクトデザインに多大な影響を与えました。
その柳宗理が1966年にデザインした「Yグラス」。メディアなどで紹介されながらも、商品化されることは今までありませんでした。しかし、東京・墨田区のメーカーと世界のデザイナーとのコラボレーション作品を提案する「スミダ コンテンポラリー」と創業120年の老舗ガラスメーカー「廣田硝子」によって、50年の時を経てついに日常的に使えるグラスとして誕生しました。
筒型の直線的なフォルムに雫のような突起が4方向につけられた、シンプルながらも目を引くデザイン。冷たい飲み物を入れて表面に水滴がついてしまっても、この突起があることで、滑りづらくなります。
また、手に持つと、一般的なグラスに比べて少し重たく感じますが、この重さがあることで置いたときに安定し、うっかり手で倒してしまう心配もありません。使い勝手を考えた過度な装飾のない必要最低限なデザインで、どんな食器と組み合わせてもすんなり馴染みます。
高さ7cm程の小ぶりなSサイズは、起き抜けの水や、クラッシュアイスを入れたウイスキーに焼酎、子供用のジュースなどにちょうどいい大きさです。ヨーグルトやアイスを入れて、デザートカップとして使うこともできます。
背の高いLサイズは、ビールにアイスコーヒー、お茶にジュースなど、どんな飲み物を入れるのにも使いやすいサイズです。
カラーはクリア、ブルー、アンバーの3色。どこか懐かしさを感じさせるレトロなカラーリングです。商品化するにあたり、当時の色になるべく近いものが選ばれたのだそう。夫婦でサイズを使い分けたり、家族で色分けすることもできます。
手に持ったときに感じる重みや、手に触れたときの感触。そして、その美しい佇まい。Yグラスを使っていくうちに、飲み物を飲むという今までの当たり前が少し特別なことのように感じてくるはずです。